【刑事事件:窃盗2件、昏睡強盗4件で懲役10年の刑となった事件】

東京高等裁判所 平成29(う)1072  昏睡強盗,住居侵入,窃盗
平成29年12月14日判決(棄却)原審、東京地方裁判所

1 ポイントは何か?


解離性同一性障害の有無


2 何があったか?


被告人Aは、窃盗2件、昏睡強盗4件を犯し、被害額は合計約276万円であ
った。Aは、犯行時女装しており、女装の衣類は繰り返し使っていた。しかし
、弁護人は、Aには全く犯行の記憶がなく、解離性医師同一性障害であり、別
人格gによる行動である旨主張した。
医師Kは、女装道具や知人とのLINEのやり取りなどの客観的情報と矛盾す
るのでAの供述の信ぴょう性には疑問があるとの意見であり、他方、医師Lは
、解離性医師同一性障害でない者が、そうであるかのようにふるまうことはで
きず、Aは解離性医師同一性障害であり、本件各犯行の犯行主体はAではなく
、その別人格であるg(それはさらに実行行為者g‘と、昏睡強盗の際に使用
した薬について知っているg”に分裂している。)であるとの意見であった。


3 裁判所は何を認めたか?


地方裁判所は、医師Lの意見には裏付けがないとし、懲役10年の判決を下し
た。決定した。Aが控訴した。
高等裁判所は、Aの控訴を却下した。


4 コメント


Aが解離性同一性障害であれば、Aに犯行の記憶がないことについての説明が
可能と思われる。