【刑事事件:給料ファクタリングが貸金業法及び出資法違反に該当するとされた事件】

1 ポイントは何か?

  給料ファクタリングの仕組み

2 何があったか?

  被告人Bは、令和2年頃、東京都内に事務所を設け株式会社Aの名称で給料ファクタリングと称する取引を行っていた。Bは東京都知事の貸金業登録を受けていなかった。また、Bは、計算上法定の1日0.3パーセントを超える金利(貸金業法42条1項により契約無効)をとっていたことになる。

Bは、貸金業法違反(47条2号、11条1項、3 条1項)及び出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに 関する法律(以下「出資法」という。)違反(同法5条3項後段)として起訴された。

3 裁判所は何を認めたか?

  Bは有罪。

  Bと労働者Cとの間の給料ファクタリングの仕組みはCからBへの給料債権の有償譲渡、BからCへの給料受領代理権の授与、Bを売主としCを買主とする給料債権の買戻し等を組み合わせたものであるが、実質は金銭の高額利息での金銭消費貸借契約であり、Bは貸金業法及び出資法違反である。

4 コメント

  裁判所の判断の通りである。

闇金融は、平成12年貸金業法改正により旧43条1項が廃止され、利息制限法の制限利息を超える高額金利が取れなくなった後で、給料ファクタリングなどという方法を考え出した。労働者は、闇金融の言葉に騙されてはならない。

(参考)

貸金業法47条2号、11条1項、3 条1項、42条1項

貸金業法 | e-Gov法令検索

出資法5条3項後段

出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律 | e-Gov法令検索

令和4(あ)288  貸金業法違反、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律違反被告事件

令和5年2月20日最高裁判所第三小法廷決(棄却)

原審  札幌高等裁判所

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