1 ポイントは何か?
家屋明渡しや占有回収は純然たる訴訟事件に属するので、当時の金銭債務臨時調停法7条の調停に代わる裁判として非訟事件手続法によって裁判することはできない。
2 何があったか?
当時の金銭債務臨時調停法7条の調停に代わる裁判による家屋明渡しや占有回収の裁判を求めた。
3 裁判所は何を認めたか?
地裁は非訟事件手続法による裁判を調停に代わる裁判として行い、高裁も認めたが、最高裁は、判例を変更し憲法違反として破棄し差し戻した。
「よって、前述した憲法82条、32条の法意に照らし、右金銭債務臨時調停法七条の法意を考えてみるに、同条の調停に代わる裁判は、単に既存の債務関係について、利息、期限等を形成的に変更することに関するもの、即ち性質上非訟事件に関するものに限られ、純然たる訴訟事件につき、事実を確定し当事者の主張する権利 義務の存否を確定する裁判のごときは、これに包含されていないものと解するのを相当とするのであって、同法八条が、右の裁判は「非訟事件手続法ニ依リ之ヲ為ス」と規定したのも、その趣旨にほかならない。
本件訴は、その請求の趣旨及び原因が第一審決定の摘示するとおりで、家屋明渡し及び占有回収に関する純然たる訴訟事件であることは明瞭である。しかるに、このような本件訴に対し、東京地方裁判所及び東京高等裁判所は、いずれも金銭債務臨時調停法七条による調停に代わる裁判をすることを正当としているのであって、右各裁判所の判断は、同法に違反するものであるばかりでなく、同時に憲法82条、32条に照らし、違憲たるを免れない
昭和24年(ク)第52号事件につき、同31年10月31日になされた大法廷の決定(民集10巻10号1355頁以下)は、本決定の限度において変更されたものである。」
4 コメント
現在の民事調停法17条に定める調停に代わる決定は、異議により失効する。
判例要約
昭和26(ク)109 調停に代わる裁判に対する抗告についてなした棄却決定に対する再抗告
昭和35年7月6日 最高裁判所大法廷 決定 破棄差戻 原審 東京高等裁判所
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