【税金事件:固定資産税評価基準を争った事件(東京)】

平成24年(行ヒ)第79号 固定資産評価審査決定取消等請求事件
最高裁判所第二小法廷平成25年7月12日判決
原審東京高等裁判所


1 ポイントは何か?


高層建物の固定資産税評価額の定め方。


2 何があったか?


Aは、本件各土地3筆を含む9筆を敷地権とする建物の所有者である。本件各
土地は車返団地の敷地等であり,府中市の都市計画において都市計画法8条1
項1号所定の第一種中高層住居専用地域と定められており、当該地域の指定建
ぺい率は60%,指定容積率は200%である。
府中市長は,本件土地3筆について,地方税法341条6号の基準年度に当た
る平成21年度の価格合計54億5333万7382円(1㎡当たり16万
4560円)を決定し,これを土地課税台帳に登録した。
Aは、本件土地3筆の価格は建ぺい率及び容積率の制限を適切に考慮していな
いとして審査の申出をしたところ,府中市固定資産評価審査委員会は,Aの審
査の申出を棄却する旨の決定をした。


3 裁判所は何を認めたか?


東京高等裁判所は、Aの主張を斥け、登録価格が交換価値としての適正な時価
額を上回らなければ違法ではなく、本件土地3筆の登録価格は鑑定書により判
定される適正な時価を上回らないから違法ではないとした。
最高裁判所二小は、登録価格が登録価格が交換価値としての適正な時価額を上
回るか否かに拘わらず、登録価格が評価基準によって決定される価格を上回れ
ば違法となるものというべきであり、評価基準によって決定される価格には、
建ぺい率や容積率の考慮の要否や在り方の検討も必要として、原判決を破棄し
差し戻した。


4 コメント


Aは、評価基準による決定が建ぺい率や容積率による制限を考慮していないと
いう盲点を突き、最高裁が原審にそれに基づく再審査を命じた。差戻審の結果
はどうなっただろうか。