1 ポイントは何か?
傷害罪は、人の身体を傷害する犯罪であり、15年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられる(刑法204条)。本件では、父親が生後2か月の子どもを激しく揺さぶって急性硬膜下血種を発症させたとして傷害罪で起訴されたが、父親は子どもがのどを詰まらせたと思って背中をたたいた可能性を否定できないとして無罪になった。
2 何があったか?
父親Bが,生後2か月の実子Aに対する何らかの行為によって、Aに急性硬膜下血腫を発症させたとして傷害罪で起訴された。BがAに対し傷害の故意を持って激しく揺さぶったのか、あるいはAがのどを詰まらせたと思って背中をたたくなどの行為をしたのかが問題となった。人形を使っての再現実験も行われた。
3 裁判所は何を認めたか?
Bは無罪。
BがAに対し傷害の故意を持って激しく揺さぶったとする証拠は、医学的にも不十分である。人形での実験では、人形の首が固定してあったが、Aはまだ首が座っていなかった。BがAに対し、傷害の故意を持つ理由もない。
4 コメント
最近、親や親の愛人が子どもを虐待するケースがいくつか出ている。これもそうかと思われたケースであったが、警察、検察の立証は不十分であったようだ。これに対し、担当した弁護士の無罪立証活動は見事であった。
ところで、生後間もない子供がものをのどに詰まらせたとき、どう対応したらよいか。子育てを、夫婦ともに学ぶ機会が必要だ。
わからない時にどうしたらいいか。まず、何よりも119番だろう。そして、子供の状態を話して、今すぐに何をすればよいかを聞く。そして、救急車をお願いする。
夫婦、その他の家族がいれば、全員が協力分担して、必要なことを行う。
判例
平成30(わ)4093 傷害
令和5年3月17日 大阪地方裁判所
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