【子の監護者の定め:祖母が自分を孫の監護者に指定するように求めた事件】

1 ポイントは何か?

  父母が離婚するときは、その協議によりその一方を子の親権者に定めなければならないが(民法819条)、子の監護者は、父母の協議で定めるとされているが、父母のいずれかでなければならないとは定められていない(同766条)。本件では、子の祖母が、家庭裁判所に、自分を監護者に指定することを求めたが、祖母には申立権がないとされた。

2 何があったか?

  AはBと離婚し、AがCの親権者となった。AとCはAの母Dと同居した。AはDのもとにCを残してEと再婚し、EはCと養子縁組をした。

Dが、家庭裁判所に、自分をCの監護者に指定することを申し立てた 。

3 裁判所は何を認めたか?

  Dの申立てを却下。

  父母でなければ、子の監護権者を指定する申立権はない。

4 コメント

  子の監護者をDとすることが必要な場合もあるだろう。しかし、申立権がないとすれば、親権喪失等の審判(834条~837条参照)と未成年後見開始の申立(839条~841条参照)の手続を利用することになろう。ただし、親権喪失の審判をするには、父母の双方に虐待、悪意の遺棄等の事情があることが必要である。

判例

令和2(許)14  子の監護に関する処分(監護者指定)審判に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
令和3年3月29日  最高裁判所第一小法廷  決定  破棄自判