1 ポイントは何か?
夫婦は婚姻の際に定める夫又は妻の氏を称する(民法750条)。婚姻届けには夫婦が称する氏を記入しなければならない(戸籍法74条1号)。最高裁判所の多数意見は、これらは憲法24条に違反しないとした。しかし、2名の裁判官が選択的夫婦別氏制を導入しないことが憲法違反であるとの反対意見を書いた。特別抗告代理人は榊原富士子弁護士。
2 何があったか?
市町村長が、夫婦別紙での婚姻届を不受理とした。
これに対し、夫婦から家庭裁判所に不服の審判、高等裁判訴に抗告訴訟、最高裁に特別抗訴訟が申し立てられた。
3 裁判所は何を認めたか?
別姓での婚姻届をした夫婦の敗訴。
「民法750条の規定が憲法24条に違反するものでないことは、当裁判所の判例とするところであり(最高裁平成26年(オ)第1023号同 27年12月16日大法廷判決・民集69巻8号2586頁(以下「平成27年大法廷判決」という。))、上記規定を受けて夫婦が称する氏を婚姻届の必要的記載 事項と定めた戸籍法74条1号の規定もまた憲法24条に違反するものでないことは、平成27年大法廷判決の趣旨に徴して明らかである。」
裁判官深 山卓也、同岡村和美、同長嶺安政の補足意見
「立法政策の問題であり、国会の真摯な議論を期待する。」
裁判官三浦守の意見
「国会においては、速やかに、これらを含む法制度全体について必要な立法措置が講じられなければならない。」
裁判官宮崎裕子、同宇賀克也の反対意見
「夫婦同氏制を定める民法750条を含む本件各規定を、当事者双方が生来の氏を変更しないことを希望する場合に適用して単一の氏の記載(夫婦同氏)があることを婚姻届の受理要件とし、もって夫婦同氏を婚姻成立の要件とすることは、当事者の婚姻をするについての意思決定に対する不当な国家介入に当たる から、本件各規定はその限度で憲法24条1項の趣旨に反する。したがって、本件各規定は、その限度で、憲法24条2項の個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚した法律とはいえず、立法裁量を逸脱しており、違憲といわざるを得ない。私たちの意見は、もとより、夫婦別氏を一律に義務付けるべきとするものではなく、夫婦同氏制に例外を設けていないことを違憲とするものであり、この点については平成27年大法廷判決における木内道祥裁判官の意見と趣旨を同じくする。」
裁判官草野耕一の反対意見
「選択的夫婦別氏制を導入しないことは、余りにも個人の 尊厳をないがしろにする所為であり、もはや国会の立法裁量の範囲を超えるほどに 合理性を欠いているといわざるを得ず、本件各規定は、憲法24条に違反している と断ずるほかはない。」
4 コメント
平成27年大法廷判決はまもなく変更か。
判例
令和2(ク)102 市町村長処分不服申立て却下審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件
令和3年6月23日 最高裁判所大法廷 決定 棄却 東京高等裁判所
離婚・男女問題でお悩みのあなたへ
「離婚しようよ」と思っているあなたへ。離婚したいとき、最初に取るべきステップや離婚の準備、離婚の仕方まで、多くの疑問や不安が浮かぶことでしょう。離婚協議から離婚協議書の作成、離婚公正証書の取得、そして離婚手続き全般を円滑に進めるためには、専門家である弁護士のサポートが不可欠です。離婚調停の流れや期間、費用、離婚慰謝料の相場、離婚裁判や離婚訴訟、さらには離婚浮気や離婚年金分割など、複雑な問題にも対応しています。離婚費用、離婚調停や離婚慰謝料、財産分与の詳細についての離婚相談は、川崎市の恵崎法律事務所にご相談ください。あなたの権利を守るため、そして離婚をスムーズに進めるための専門的なアドバイスとサポートを提供いたします。お気軽にご相談ください。