【不動産詐欺:裁判所が弁護人の請求に基づき検察官に対し証拠の開示を命じた事件】

1 ポイントは何か?

 弁護人が検察官証拠の開示を求める場合の要件は何か。

 ⑴ 弁護人の主張明示義務

 ⑵ 弁護人の主張と検察官証拠との関連性

 ⑶ 開示の必要性、相当性

2 何があったか?

 弁護人は、不動産詐欺事件の弁護に当たり、被告人名義の口座に振り込まれた金員が返済資金であることを立証するために、検察官調書の開示を求めた。

3 裁判所は何を認めたか?

裁判所は、⑴弁護人が主張明示義務を果たしていないとは言えないとし、⑵検察官から検察官調書の提供を受けて調べたところ、弁護人の主張との関連性は肯定され、被告人名義の口座に振り込まれた金員の趣旨は、現金詐欺事件の共謀の有無に関わる主要な争点であると位置づけることができる、⑶被告人の防御のために開示の必要性が高い、開示による弊害は明かでなく、開示の相当性があるなどとして、検察官に対し、刑訴法316条の26に基づき、期限を定めて開示を命じた。

 刑事訴訟法

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000131

 なお、本件で開示が命じられたのは、弁護人が開示を求めた検察官証拠の一部である。

4 コメント

 裁判は証拠によって決まります。そこで、刑事事件では、検察官開示しない証拠の開示を求めることが必要な場合もあります。

以上

平成20(む)757
平成20年5月9日 東京地方裁判所決定

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/739/038739_hanrei.pdf

  

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