1 ポイントは何か?
家庭裁判所に実母の保佐開始審判前の保全処分として管理者選任の申立をした申立人は、選任された管理者が家庭裁判所に提出した報告書の閲覧謄写を申立てることができるか。
2 何があったか?
家庭裁判所に実母の保佐開始の申立をした申立人が、保佐開始までの保全処分として実母の財産を管理する管理者の選任を申立てた。
家庭裁判所は管理者を選任した。
管理者は管理すべき財産を調査し、財産目録及び財産状況等の報告書を家庭裁判所に提出した。
申立人は、家庭裁判所にその報告書の閲覧謄写を求めた。
3 裁判所は何を認めたか?
裁判所は、申立人のその報告書の閲覧謄写を認めなかった。
理由は、家庭裁判所による管理者の選任によって、管理者選任申立事件は終了しており、管理者の報告書は申立事件終了後の記録であるから、申立人がその報告書を管理者選任申立事件の記録として閲覧謄写を求めることはできないというものである。
4 コメント
記録の保管は大変重要な問題です。
管理者の選任申立をした申立人が閲覧謄写の申請をすれば、すぐにさせてもらえるかと思いきや、認められませんでした。
以上
最高裁判所第一小法廷令和4年6月20日決定
(判例時報2051号11頁)
(裁判所HP裁判例検索)
令和3年(許)第13号 閲覧謄写申立て却下決定に対する抗告却下審判に対する 抗告棄却決定に対する許可抗告事件
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/257/091257_hanrei.pdf
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