1 ポイントは何か?
労働時間の罰則規定
2 何があったか?
使用者と労働者の過半数の代表が月単位で超過残業を定める36協定を締結した。
使用者が協定に違反して、労働者を長時間残業させた。
検察官が使用者を起訴した。公訴事実には月単位の超過時間数の記載があった。
しかし、労働基準法119条1号で6か月以下の懲役または30万円以下の罰則が適用される32条1項は週40時間労働時間制を定める規定で、週単位での違反が処罰の対象となる。36協定がある場合に限って週40時間を超えて労働させることができるが、36協定の違反を月単位での超過時間数で処罰する規定はない。ただし月100時間以上の超過の場合は、119条1号、36条6項2号で処罰される。
(参考)労働基準法 労働基準法 | e-Gov法令検索
3 裁判所は何を認めたか?
原審大阪高等裁判所は、月単位での違反は32条1項では処罰できないとして無罪判決を下した。公訴事実を週単位での違反事実に改めることも認めなかった。
最高裁は、検察官が公訴事実を週単位での違反事実に変更することもできるとして原判決を破棄差戻した。
最高裁の少数意見は、公訴事実をそのまま変更しなくても、週単位での違反事実について審理し判決を下すことが可能であるとした。
4 コメント
差戻しの大阪高等裁判所では、検察官に週単位の違反事実に変更させたうえで審理し、判決を下すことになる。
以上
道路交通法違反,労働基準法違反被告事件
最高裁判所第一小法廷平成21年7月16日判決
原審 大阪高等裁判所
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