1 ポイントは何か?
敷金の担保的効力
敷金返還請求権の譲渡
2 何があったか?
Aは、昭和35年頃、E所有家屋を競落し、Dを借主とする建物賃貸借契約のEの貸主としての地位及び敷金を承継した。同建物賃貸借契約は昭和37年10月31日期間満了で終了した。
AはFに昭和37年12月26日本件建物を敷金返還債務付きで売却した。
Bは昭和40年1月27日、Ⅾを債務者としAを第三債務者として敷金返還請求権につき差押転付命令を得、同月29日D及びAに送達された。
FとDは、昭和40年3月3日訴訟上の和解をし、Dは明渡し、敷金は昭和38年9月までの賃料相当損害金に充当されて消滅した。
BがAに対し、敷金返還請求訴訟を提起した。
3 裁判所は何を認めたか?
⑴ 原審裁判所 棄却
ア 返還債務付敷金の譲渡は可能。敷金はEからAへ、そしてAからFに譲渡済み。Aを第三債務者として債権差押転付命令を受けることはできない。
イ 敷金は賃料相当損害金に充当されて消滅済み。
⑵ 最高裁判所 結論は同じ
ア 賃貸借契約終了後の建物の譲渡において、敷金に関する権利関係のみが当然に承継されることはなく、旧所有者と新所有者の合意だけで旧賃借人の同意なく敷金返還債務を譲渡することはできない。EからA、AからFへの返還債務付き敷金の譲渡は無効。
イ 敷金は担保。Dが占有を継続する限り遅滞の責めを免れない。明渡未了の敷金返還請求権は未確定な債権であり、転付命令は無効であり、Bはこれを取得しえない。
4 コメント
債権譲渡する前に譲渡できる債権かどうか、また、差し押さえる前に、差押転付命令を受けることが可能な債権かどうかよく調べておこう。
昭和46(オ)357 敷金返還請求事件
昭和42年2月2日 最高裁判所第2小法廷判決(棄却)
原審 昭和41年(ネ)80
昭和46年2月5日広島高等裁判所松江支部判決(棄却)
(裁判所HP裁判例検索)
裁判例結果詳細 | 裁判所 – Courts in Japan
052043_hanrei.pdf (courts.go.jp)
民集72巻1号80頁
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