1 ポイントは何か?
離婚の財産分与
2 何があったか?
夫婦であるA及びBの双方から相手方に対し離婚と財産分与を求める本訴と反訴が申立てられた。
分与を求める財産には、夫婦協力して設立した医療法人社団Cの出資持分γが含まれていた。
Aは、Cから金1億5767万円余の損害賠償請求訴訟が提起されていた。
3 裁判所は何を認めたか?
⑴ 第1審裁判所
双方の離婚請求及びγを含む夫婦共同財産全ての財産分与の裁判をした。
財産分与についての裁判についてBが控訴し、Aが付帯控訴をした。
⑵ 原審東京高等裁判所
γを除く夫婦共同財産の財産分与の裁判をした。
⑵ 最高裁判所
原判決の財産分与の部分を破棄差戻し。
民法771条、768条2項本文、但し書き、3項、人事訴訟法32条1項等から、財産分与は夫婦共同財産の速やかな清算を目的としており、その一部について財産分与の裁判をしないことは許されない。
4 コメント
Aが被告として応訴中の損害賠償訴訟の結果を待たずにAB間でγを含めた夫婦共同財産全体についての財産分与を行った第1審判決は適切ではなかったとしたら、原審判決のようにγを除いた一部財産分与の裁判をした方が夫婦共同財産の速やかな清算の目的にかなっているということも言える。最高裁の判決は条文の緻密な検討に基づいているが、差戻し審である高裁での和解解決の含みも残しているのかもしれない。
(参考)
民法771条(裁判離婚への準用)、768条2項本文、但し書き、3項(財産分与)
民法 | e-Gov法令検索
人事訴訟法32条1項(付帯処分についての裁判等)
人事訴訟法 | e-Gov法令検索
以上
令和3(受)1115 離婚等請求本訴、同反訴事件
令和4年12月26日 最高裁判所第二小法廷 判決 破棄差戻し
原審 東京高等裁判所
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