1 ポイントは何か?
損益相殺
2 なにがあったか?
Aは、Bに対し、交通事故により受けた人身損害の合計金9873万1606円(弁護士費用含む)を請求した。
Aは、同事故により、労働災害保険法に基づく療養給付及び休業給付、障害年金の各支給、国民年金法に基づく障害基礎年金及び厚生年金保険法に基づく障害厚生年金の各支給を受けた。
これら公的支給の原審東京高等裁判所の口頭弁論終結の日までの支給額について、Bが支払うべき損害賠償金(任意保険で支払われる保険金)との間でどのように調整するかが問題となった。
3 裁判所は何を認めたか?
⑴ 原審 東京高等裁判所
療養給付及び休業給付については元本に充当し、充当後の遅延損害金を付加する。障害年金、障害基礎年金及び障害厚生年金についてはまず事故日以降填補の日までの遅延損害金に充当し、残金を元本に充当した。
⑶ 最高裁判所
原審東京高裁の判決を一部破棄自判した。
すべて元本に充当し、残金に事故日以降の遅延損害金を付した。
これらの給付金や年金の制度の趣旨とは一致しないにせよ、不法行為の時にてん補されたものと法的に評価して損益相殺的な調整をすることが,公平の見地からみて相当である。
4 コメント
公的給付や年金は口頭弁論終結時までの分が事故日にさかのぼって元本に充当するのが公平と覚えましょう。任意保険の人身傷害保険金などはこれとは別でまず遅延損害金、次に元本に充当(令和4(受)648 損害賠償請求事件
令和5年10月16日 最高裁判所第一小法廷 判決(破棄自判) 東京高等裁判所092426_hanrei.pdf (courts.go.jp))
判例
平成20(受)494 損害賠償請求事件
平成22年9月13日 最高裁判所第一小法廷 判決 その他 東京高等裁判所
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