1 ポイントは何か?
本件は、私立高校の生徒が男女交際を禁止する校則に違反したとして事情聴取を受け、自主退学勧告を受けて退学したことにより精神的苦痛を被り、他の高校への編入費用、大学受験のための塾の費用など支出したことで損害を受けたとして学校法人に損害賠償を請求し、裁判所がその一部を認めた事例である。
2 何があったか?
原告は私立高校の生徒であったが、同校の男女交際を禁止する校則に違反したとして同校から事情聴取を受け、自主退学勧告を受けて退学した。原告は、ことにより精神的苦痛を被り、他の高校への編入費用、大学受験のための塾の費用など支出したことで損害を受けたとして学校法人に損害賠償を請求した。
3 裁判所は何を認めたか?
Aら勝訴。
裁判所は、①本件校則の有効性を、学習指導要領には特に男女交際を禁止する項目はないが、その高校の教育理念との整合性、生徒は校則を承認して入学していること等から認め、②本件自主退学勧告の違法性の有無については、同勧告に従わない場合、慣例として1カ月程度の謹慎処分が見込まれるところ、説明が不十分であったとして違法性を認め、③本件事情聴取の違法性の有無については、事情聴取が必要であり、違法性はないとし、④原告に生じた損害の額については、慰謝料について男女交際の期間の長さを考慮して過失相殺による減額をし、他の高校への編入費用から被告学校法人が返還した授業料分を損益相殺し、⑤弁護士費用約1割相当分を付加した。
4 コメント
公立高校では、男女交際は禁止されない。高校時代から付き合って結婚し、良い夫婦になった人もたくさんいる。そもそも男女交際を禁止するのは時代錯誤ではないか。男女交際を禁止したらよい子が育つということはない。では、間違って女生徒が妊娠したらどうするのか、などというのは馬鹿げた心配であり、それについては、もっと別の方法でいくらでも指導することができるはずだ。そのように考えると、本件とは別の判決が下された可能性も十分にある。