1 ポイントは何か?
本件は妻が2名の子らと共謀して入院中の精神障害の夫を退院させて連れ出し殺害した事件であるが、否認事件であり、殺害方法が不明で、殺害されたのか、妻が子らと共謀したのかなどが問題になった事件である。
2 何があったか?
被告人の夫V(当時77歳)は、精神障害を有していたが、平成23年3月5日午前9時30分ころ長野県の入院先の病院から退院したのち同日午後4時までに東京都内のマンションで死亡した。
Ⅴは殺害されたのか、被告人が実子A及びBと共謀したかが争われた。
3 裁判所は何を認めたか?
懲役11年。
裁判所は、Vが退院後、7時間で病死・自然死するわけはないことなどから殺害されたと認定した。被告人がAから殺害計画メールを受取り、事前の火葬場の下見、病院の退院手続、BへのVの引渡し等行い、偽造された死亡診断書で死亡届を行っていることなどからA及びBとの共謀関係を認めた。被告人が果たした役割も重要であるから共謀でありほう助ではなく法令適用の誤りもないとした。殺害方法はわからなかった。
4 コメント
妻が精神障害の夫の看病に疲れている様子を子供らが見て、殺害計画を立てたものと思われる。殺害方法がわからないのに殺人罪が成立しているのは珍しい。
判例
令和5(う)307 殺人
令和5年10月24日 大阪高等裁判所 棄却
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