1 ポイントは何か?
境界損壊罪は土地の境界を認識できないようにする罪であり(刑法262条の2)、器物損壊罪(同262条)とは区別される。本件は、境界標の丸太を根元から切り倒したが、根本が残り、境界を認識できないことはなかったので、境界損壊罪は成立しないとされた。その場合、器物損壊罪が成立するかは別の問題である。
2 何があったか?
被告人は、昭和39年頃、AがAの所有地と被告人の所有地の境界に境界標として設置した有刺鉄線張りの直径約8センチメートル、長さ約1メートルの丸太32本を鋸で切り倒した。
3 裁判所は何を認めたか?
地裁及び高裁は境界損壊罪を認めたが、最高裁は、認めなかった。
4 コメント
器物損壊等は3年以下の懲役又は30万円以下の罰金もしくは科料であり、境界損壊は5年以下の懲役又は50万円以下の罰金である。いずれも故意犯であり、過失は処罰されない。立法論として、境界損壊の場合の刑期の長期化、罰金額の増額と科料の付加、境界を認識困難にした場合の器物損壊よりも重い処罰、過失犯の処罰など検討の余地がある。
判例
昭和42(あ)2891 境界毀損、器物毀棄
昭和43年6月28日 最高裁判所第二小法廷 判決 破棄差戻
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