1 ポイントは何か?
土地家屋調査士会は土地家屋調査士として業務を行う者が加入を強制される団体であるから、社員の除名等の懲戒処分についての総会決議は慎重でなければならない。本件は、除名の懲戒処分を受けた社員が総会決議の無効を主張し、裁判所が、当該総会決議は、対象となった社員の懲戒事由が具体的でなく、十分な弁明の機会が与えられていないとの理由で決議の無効を認めた事件である。
2 何があったか?
土地家屋調査士会の理事会が社員の除名決議を議案とする社員総会を招集したが、招集通知には除名の具体的理由の記載がなく、総会で読み上げられた除名理由も具体性を欠いていた。
3 裁判所は何を認めたか?
社員総会決議無効。
「上告人は,官公署等による登記に関する手続の円滑 な実施に資すること等を目的とする公共嘱託登記土地家屋調査士協会であるから,上告人の内部規律に関しては,宗教法人や学校法人の内部規律とは異なり,上告人の裁量的判断にゆだねられる余地は少ない。とりわけ,社員の除名といった法律関係を終了させる処分は,当該社員の存在が上告人の目的に反し,又はその目的を阻害するといった明確な事実があったときに許容されるものである(最高裁平成11 年(受)第722号同13年4月26日第一小法廷判決・裁判集民事202号20 5頁参照)。」
4 コメント
本件では大多数の社員が団体を守る意識が高く賛成票を投じたようであるが、強制加入団体なのだから、多数決には限界がある。。除名決議に掛けられた社員の存在が会の目的に反するのか、あるいは会の目的を明確に阻害しているのかを具体的事実に基づいて議論すべきであった。
判例
平成17(受)1398 社員総会決議無効確認等請求事件
平成17年12月13日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却
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