【刑事事件:宝塚カラオケボックス「ビート」火災事件】

1 ポイントは何か?

  カラオケ店は、消防法2条②、③、同施行令別表第一㈡ないし㈢の防火対象物、消防対象物であり、その経営者は消防法7条、2条④の関係者(所有者、管理者、占有者をいう。)、同法8条の管理権原者として、防火管理者(要資格)を定め、消防計画を作成し、同計画に基づく消火、通報及び避難の訓練の実施、消防供用設備、消防用水等消火施設の点検及び整備、火気の使用又は取扱いに関する監督、避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理並びに収容人員の管理その他防火管理上必要な業務を行わせなければならない。本件は、アルバイトが1人で勤務しているときにフライパンの油から発火して店舗が全焼し、客8名が逃げ場を失い、内3名が一酸化炭素中毒で死亡し、5名に加療約3か月間ないし約3日間を要する気道熱傷等の各傷害を負わせたものであるが、カラオケ店経営者が消防法上の義務を尽くしておれば防ぐことができたとして、カラオケ店経営者に業務上の過失を認定し禁固4年の刑に処した事件である。

2 何があったか?

カラオケ店で、アルバイトが一人で勤務しているときにフライパンの油から発火して店舗が全焼し、客8名が逃げ場を失い、内3名が一酸化炭素中毒で死亡し、5名に加療約3か月間ないし約3日間を要する気道熱傷等の各傷害を負わせた。カラオケ店の経営者は、有資格の防火管理者を置かず、消防計画を作成せず、その他消防法上の義務を尽くしていなかった。むしろ建築基準法上も数々の問題のある建物管理を行っていた。

  

3 裁判所は何を認めたか?

  禁固4年。未決勾留日数中270日算入。

  消防士等も同カラオケ店を利用していたが、特に注意がされなかったとしても、被告人の責任は軽減されない。

4 コメント

  カラオケ店経営者は、自ら甲種ないし乙種防火管理者の資格を取り、防火管理者や消防計画の届出をし、必要な設備の点検や訓練を行うべきであった。生命に関係する危険運転行為の処罰と比べると、業務上失火の刑事罰は軽いというべきであろう。逆に行政法上の注意を十分に尽くしておれば、刑の軽減もありうるわけである。

判例

平成19(わ)168  業務上過失致死傷
平成19年12月12日  神戸地方裁判所

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