【刑事事件:川治プリンスホテル雅苑火災事件】

1 ポイントは何か?

本件は、昭和55年川治プリンスホテル雅苑火災事件であり、死者45人、負傷者22人を出し、社長(管理権原者)は宇都宮地裁昭和60年5月15日確定の判決で禁固2年6月、執行猶予3年の判決を受け、専務(管理権原者)は、本件最高裁判決で、禁固2年6月の実刑判決が最高裁で確定した。

2 何があったか?

  Aホテル社長Bと専務Cは夫婦であるが、Cが経営を取り仕切っていた。Aホテルは旧館、新館が渡り廊下でつながれ、最大250人の宿泊が過去能であった。B、Cとも管理権原者(所有者、管理者、占有者)であったが、防火管理者や消防計画の届出もなく、旧館、新館の接合部に防火戸や防火区域の設置もなく、避難訓練など行われていなかった。本件家裁の発生は、旧館の露店風呂の敷地で行われていたアセチレンガスによる鉄柵切断作業の火花が建物の壁の隙間に入り、炎が壁体内を伝って休刊居間で燃え広がり、フラッシュ・オーバー現象(空気口が開き、火勢が一気に強まる現象)が起き、宿泊客や従業員たちも逃げ場を失い、多量の煙、一酸化炭素等を吸入し、あるいは新館屋根等に 飛び降りざるを得なくなり、その結果、老人会の団体客を含む宿泊客及び従業員のうち合計45名が死亡し、22名が傷害を負った。

3 裁判所は何を認めたか?

  Bは宇都宮地裁昭和60年5月15日確定の判決で禁固2年6月、執行猶予3年の刑に処せられた。

Cは、本件最高裁判決で禁固2年6月の実刑判決が確定した。

「本件火災による宿泊客及び従業員の死傷の結果については、被告人において、あらかじめ消防計画を作成してこれに基づき避難誘導訓練を実施するとともに、右の防火戸・防火区画を設置していれば、双方の措置が相まって、本件火災による宿泊客等の死傷の結果を回避することができたものと認められる。」 

4 コメント

  今後、地球の温暖化により、空気が乾燥し、火災が起きやすくなると思われる。そのために、消防署の立入検査や見回りも厳しくなっているようだ。人命の安全が最も大切なことだから、消防計画や避難訓練などおろそかにしないように。

判例

昭和62(あ)519  業務上過失致死、同傷害平成2年11月16日  最高裁判所第一小法廷  決定  棄却  東京高等裁判所

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