京都地方裁判所 令和5(わ)166 京都府迷惑行為等防止条例違反、大阪府公衆に著しく迷
惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反
令和5年6月6日判決
1 ポイントは何か?
性的姿態等盗撮等防止法施行以前の条例による盗撮犯罪の処罰
2 何があったか?
Yは、常習として京都府で99件、大阪府で10件の盗撮事件を繰り返したと
して京都府及び大阪府迷惑防止条例違反(大阪府分は、令和3年改正前1件、
改正後9件)で起訴された。Yはスマートフォンを分解して細工した盗撮器具
を鞄に仕込んでいた。また、盗撮動画等を販売して生活してきた。
Yはカウンセリングを受け、母が今後の監督を誓った。体刑前科はない。
検事は、懲役2年を求刑した。
3 裁判所は何を認めたか?
懲役1年6月の実刑判決。
京都府も大阪府も迷惑防止条例の盗撮罪の法定刑は2年以下の懲役または
100万円以下の罰金であり、大阪府では令和3年に条例の改正があったが、
その前後を通じ包括一罪とし、犯情の重い改正後の罪の刑で処断するとし、刑
種はいずれも懲役刑を選択した。犯情の重い京都分の罪の刑に併合罪加重をし
、3年以下の懲役の範囲内で上記の通り判決した。
4 コメント
懲役2年は重いと感じる。併合罪加重の前に刑の選択をすべきか。刑の選択を
行わずに併合罪加重をすると懲役3年以下又は200万円以下の罰金のいずれ
かで量刑を行うことになる。そのうえで罰金とする余地はなかったか。
また、懲役刑に執行猶予ないし保護観察付執行猶予を付することもできた。
以上