京都地裁平成3年8月27日判決、判例タイムズ777号153頁
1.ポイントは?
不動産売買で、仲介業者は、売主が不動産の真の所有者本人であるか否かについて、どこまで調査確認義務を負うかが問題となった。
2.何があったか?
原告Xは、不動産の所有者Bから不動産aを買って、手付金3500万円を支払った。ところが、Bは本人ではなく、Bの弟Aが自称Bとして原告Xと契約し、原告Xから手付金を詐取したのであった。BはAがこのような契約をBの名前で行っていることを知らなかった。原告Xは、Aに手付金を支払っただけで、Bから不動産を取得することができなかった。
原告XとAとの間には、3人の仲介業者が関与していた。Aが依頼した仲介業者Y1、原告Xが依頼した仲介業者Y3、その間に立ったY2の3人である。
原告Xは、原告として、Y1ら3人の仲介業者らを被告らとして損害賠償請求の裁判を提起した。
Y3――Y2――-Y1
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原告X=======A(自称B)・・・・・・B(本件不動産aの所有者)
3.判決は何をみとめたか?
- Y1については、Xに対する3500万円の損害賠償責任を認めた。
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- 理由: Bが不動産aの真実の所有者であることを知っていたと理由。
- Y2およびY3については、損害賠償責任を認めなかった。
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- 理由: AおよびY1からAはBであるとの説明を受けたこと並びに登記簿謄本、Aが差し出したBの名刺及び外国人登録済証明書を確認したことで注意義務は一応尽くされており、それ以上になおこの点につき疑念を抱き権利者本人であるか否かを調査すべきまでの義務はない。
- もしY2およびY3が、それだけでなくBの実印や印鑑証明書の提出を求めていれば、Bでなければ出せないはずだからAがBではないとわかったかもしれない。しかし、そこまでの調査確認義務はないとした。
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なお、2012年7月9日から新しい外国人の在留管理制度がスタートしており、外国人在留者にも住民票の登録が可能となり、在留カード、特別永住者証明書等が発行されるようになり、外国人登録済証明書は廃止されている。また、在留カード、特別永住者証明書には、自動車運転免許証のように顔写真が付されている。これらの顔写真でも確認しておれば、本人確認を間違えることはなかっただろう。
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