【中国残留邦人行政事件:中国残留邦人等の一時金を申請した事件】

札幌高等裁判所 令和5(行コ)14  一時金申請却下処分取消請求控訴事件 令和6年5月10日判決(破棄自判) 原審 札幌地方裁判所 


1 ポイントは何か?


  中国残留邦人等の一時金の申請資格


2 何があったか?


Aは、昭和25年以降に樺太で生まれ、母Bは帰国を果たせず死亡した。
Aは、平成11年に兄Cと共に帰国した。AとCは中国残留邦人等として、平成27年に厚生労働大臣に、中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律(以下「支援法」という。)13条3 項に基づく一時金(以下「一時金」という。)の支給の申請をした
兄Cは、昭和24年以前の生まれであることから当然にソ連参戦以後の引揚困難事由の影響により、引き続き残留を余儀なくされたものと認められ、一時金の支給が認められた。しかしAは、却下され(以下「本件処分」という。)、審査請求も棄却の裁決が下された。
Aは、国を被告として札幌地方裁判所に本件処分の取消を求めた。


3 裁判所は何を認めたか?


  札幌地裁では、A敗訴。
  札幌高裁は、札幌地裁の判決を取消し、本件処分を取消した。Aも、Cと同様に認めるべきとされた。


4 コメント


  帰国一時金、労災補償金、保護費など、受付窓口が混乱しやすい。救済のための立法の不備もあるだろう。ADRを引揚困難事由の認定に役立てる方法も考えられる。
以上