最高裁判所大法廷昭和45(あ)23小売商業調整特別措置法違反昭和47年11月22日
判決 刑集第26巻9号586頁(原審大阪高等裁判所昭和44年11月28日判決)
1 ポイントは何か?
指定都市の小売市場許可制と憲法22条1項、14条1項、25条。
2 なにがあったか?
Aは、大阪府内において小売市場の許可を受けることができなかった。
Aは、➀小売商業調整特別措置法3条1項、同法施行令1条、 2条所定の許
可制、及び、本法5条1号に基づく大阪府小売市場許可基準内規の憲法22条
1項(職業選択の自由)違反、➁規制の地域差や十店舗未満の小売市場および
スーパーマーケツトを規制の対象としていないことの憲法14条1項(法の下
の平等)違反、③国民の健康で文化的な最低限度の生活に具体的に特段の影響
を及ぼしたことの憲法25条違反等を主張した。
3 裁判所は何を認めたか?
A敗訴。最高裁は、本件各上告を棄却した。
➀小売市場の許可規制が憲法22条1項に違反するものとすることはできな
いとし、許可基準内規は法的拘束力を有するものではなく、単に許可申請にか
かる許可行政の運用基準を定めたものにすぎず、その当否は、具体的な不許可
処分の適否を通じて争えば足り、右内規の一般的合憲性を争うことは許されな
いとし、➁小売市場を開設しようとする者の間に、地域によつて規制を受ける
者と受けない者との差異が生じたとしても、そのことを理由として憲法14条
に違反するものとすることはできないとし、十店舗未満の小売市場およびスー
パーマーケツトを規制の対象としていないのは、いずれも立法政策の問題であ
つて、そのために本法の規制が憲法14条に違反することになるわけではない
とし、➂右許可規制のために国民の健康で文化的な最低限度の生活に具体的に
特段の影響を及ぼしたという事実は、本件記録上もこれを認めることができな
いから、 憲法25条違反の主張は、その前提を欠き、上告適法の理由にあたら
ないとした。
4 コメント
本判例は憲法22条1項、14条1項、25条についてのリーディングケース
となった。しかし、今日、小売商業は大きな変貌を遂げつつある。