【行政事件:持続化給付金等を特殊風俗営業の事業者に給付しないことが平等原則に反すると争った事件】

最高裁判所第一小法廷  令和6(行ツ)21  持続化給付金等支払請求事件 令和
7年6月16日判決(原審、東京高等裁判所)

1 ポイントは何か?


新型コロナウイルス対策に国が策定した中小向け持続化給付金、及び家賃支援
給付金と憲法の平等原則及び職業選択の自由。

2 何があったか?


無店舗型性風俗特殊営業を行う事業者Aが、各給付金の給付規定が同事業者
らには給付しないこととされていることが、憲法14 条1項の法の下の平等
、22条1項の職業選択の自由に違反するなどと主張して、国及び中小企業庁
から支払業務を受託していたB社及びC社に対し、本件各給付金の支払等を求
めた。

3 裁判所は何を認めたか?


A敗訴。
「国において本件各給付金に係る制度を設けるに当たり、本件特殊営業を行
う事業者に対しては、公費を支出してまでその事業の継続を支えることは相当
でないと判断し、給付対象から除外して区別することが不合理であるというこ
とはできない。」とした。
(裁判官安浪亮介の補足意見の要点)
本件特殊営業は届出制に留まり、その健全化を図るための適正な業務等の水
準が定められていないことなど現行法上の位置付けを考慮している。
(裁判官宮川美津子の反対意見の要点)
憲法14条1項の規定は、事柄の性質に応じた合理的な根拠に基づくもので
ない限り、法的な差別的取扱いを禁止する趣旨のものであるところ、本件各取
扱いの合理性判断においては、本件各給付金の趣旨及び目的を重視すべきであ
り、本件各取扱いが本件特殊営業の事業者及び接客従業者の社会的評価に与え
る影響も考慮して、合理性の有無を慎重に検討すべきである。届出制、許可制
の違いはあれ、風営法の規制の下で適法に営業を行っている事業者を、本件各
給付金の給付の場面で区別することは、本件各給付金の趣旨及び目的と整合し
ない。適法に本件特殊営業を行う事業者について、公費を支出して事業の継続
を支えることは相当であり、本件各取扱いは、憲法14条1項に違反するもの
であり、更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すのが相当である。

4 ポイント


内容にかかわらず、風営法が届出制をもって容認した事業であるから、新型コ
ロナウイルスから従業者の生活を守るためにも、平等に補助金を交付すべきで
あった。
以上

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