1 ポイントは何か?
訴えの利益があるか(そもそも裁判所に判断を求めて訴えを起こすことができる争いがあるか否か)
2 何があったか?
Xが製造販売する後発医薬品がY社の先発医薬品の特許権を侵害しないことの確認を求めた。
3 裁判所は何を認めたか?
原審の東京地裁は、XとYの争いは現実化しておらず、現実化したとしても厚生労働省の承認審査にかかる問題であり、XとYとの間で直ちに訴えを提起する訴えの利益はない(Yを相手にYの特許権を侵害していないことについて裁判所の判断を求める権利はないこと)として、Xの請求を却下した。
知財高裁は、東京地裁の判断を維持し、Xの控訴を棄却した。
4 コメント
私は、特許訴訟の専門家ではないが、特許訴訟の面白さは、技術や発明を対象とするところにある。そこでは、法や裁判の仕組みも、対象に合わせて極めて技術的なものとなる。
訴えの利益とは、裁判できるかどうかであるから、まさに裁判技術の問題である。その考え方は、他の一般的な民事、商事の事件でも参考になる。
知財高裁令和5年5月10日判決(控訴棄却)
(裁判所HP裁判例検索)
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/072/092072_hanrei.pdf