1 ポイントは何か?
参議院議員の臨時国会召集請求権(憲法53条)日本国憲法 | e-Gov法令検索
(憲法上、臨時国会の召集・開会の期限を定める文言はない。)
国家賠償請求権 国家賠償法 | e-Gov法令検索
法律上の争訟(裁判所法3条1項)裁判所法 | e-Gov法令検索
2 何があったか?
参議院議員Aが、内閣に対し、臨時会招集権の確認及び国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めた。
3 裁判所は何を認めたか?
⑴ 高等裁判所
Aの請求を却下。
法律上の争訟には当たらない。
⑵
Aの請求を棄却。
法律上の争訟には当たるが、確認の利益を欠き、不適法。
国賠法1条1項の適用については、憲法53条は個々の国会議員の臨時会召集要求に係る権利又は利益を保障したものとは解されない。同条後段の規定による臨時会召集決定の遅滞によって直ちに召集後の臨時会における個々の国会議員の議員活動に係る権利又は利益が侵害されるということもできない。
(裁判官宇賀克也の以下のような反対意見がある。)
召集要求権確認請求については召集期間20日の限度で容認する認容判決を下し、国賠請求権については20日以内に召集できなかった特別の事情の有無及び損害額を審理させるために原判決破棄差戻しが妥当とする。
ア 抗告訴訟としての義務付け訴訟も考えられるが、確認訴訟は、当事者間の具体的紛争解決にとって適切な手段であるといい得る。
イ 召集期間は20日で足りる(自由民主党の憲法改正草案、地方自治法101条4項の例)。
ウ 国賠法1条1項について最高裁平成30年(行ヒ)第417号令和2年11月25日大 法廷判決・民集74巻8号2229頁を引用し、臨時会の召集が遅延したことについて特段の事情がなかったのであれば、本件損害賠償請求は認容されるべきと考えられるとする。
4 コメント
宇賀反対意見、面白い。裁判の構造を考える参考になる。
判例
令和4(行ツ)144 憲法53条違憲国家賠償等請求事件
令和5年9月12日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 原審