1 ポイントは何か?
遺言者が遺言書を故意に破棄した時は遺言の撤回とみなされる(民法1024条)、本件は、文面全体にひかれた1本の赤斜線は遺言尾撤回に当たるとされた事件である。
2 何があったか?
Aの作成した用紙1枚の自筆証書遺言の文面全体に赤車線が1本惹かれていた。この赤斜線は、Aが故意に引いたものであるが、遺言の破棄に当たるかが争われた。
Aの子Bが、同Cに対し、本遺言書の無効確認を求めた。
3 裁判所は何を認めたか
B勝訴。本遺言書の無効を確認した。
「赤色のボールペンで遺言書の文面全体に斜線を引く行為は、その行為の有する一般的な意味に照らして、その遺言書の全体を不要のものとし、そこに記載された遺言の全ての効力を失わせる意思の表れとみるのが相当であるから、その行為の効力について、一部の抹消の場合と同様に判断することはできない。」
4 コメント
Aは、赤車線を引いて撤回した自筆証書遺言を、なぜ捨てずに保管していたのか。疑問が残る。
判例
平成26(受)1458 遺言無効確認請求事件
平成27年11月20日 最高裁判所第二小法廷 判決 破棄自判 広島高等裁判所
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