【相続放棄事件:連帯保証人の相続人が相続放棄又は承認をせずに死亡後、その相続人が強制執行をうけた事件】

最高裁判所第二小法廷  平成30(受)1626  執行文付与に対する異議事件
令和元年8月9日判決  原審大阪高等裁判所所


1 ポイントは何か?


民法916条の相続放棄の熟慮期間3カ月の始期は、被相続人が相続放棄ない
し承認をしないで死亡した場合の再転相続人の場合はいつからか。


2 何があったか?


X銀行が金銭消費貸借契約の借主Y株式会社と連帯保証人Aらに対する債権を
Zに債権譲渡した。Aの相続人Bが相続の放棄又は承認をしないまま死亡しC
がBを相続した。ZがCに対し強制執行を行った。
Cが相続放棄申述を行い、Cに対する強制執行を許さないとする執行文付与に
対する異議の申し立てをした。


3 裁判所は何を認めたか?


再転相続人たちが勝訴。
民法916条にいう「その者の相続人が自己のために相続の開始があったこと
を知った時」とは,相続の承認又は放棄をしないで死亡した者の相続人が、当
該死亡した者からの相続により,当該死亡した者が承認又は放棄をしなか っ
た相続における相続人としての地位を、自己が承継した事実を知った時をいう
ものと解すべきである。」


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相続放棄の熟慮期間は相続財産調査のため。