1 ポイントは何か?
交通事故において、被害者と一体関係にある者の過失は、被害者側の過失として考慮されるとすれば、内縁関係にある者同士の場合はどうか。本件は、内縁の夫が運転する車の助手席にいた内縁の妻から交通事故の相手方車両の運転者に対する損害賠償請求について、内縁の夫の過失を考慮した事件である。
2 何があったか?
平成13年頃、内縁の夫が運転する車両の助手席に乗っていた内縁の妻が、交差点での自動車同士の出会いがしらの衝突事故にあい、頸椎捻挫、腰椎捻挫、パニック障害、うつ症状等の後遺障害が残った。
内縁の妻が相手方車両の運転者を運行供与者として自動車損害賠償保障法3条に基づく損害賠償請求をした。
相手方は、内縁の夫の運転上の過失を内縁の妻の被害者側の過失として過失相殺を主張した。
3 裁判所は何を認めたか?
東京高等裁判所は過失相殺を認めなかった。
しかし、最高裁判所はこれを認める判決を下した。
「被害者と身分上、生活関係上一体を成すとみられるような関係にある者の過失についても、民法722条2項の規定により、いわゆる被害者側の過失としてこれを考慮することができる(最高裁昭和40年(オ)第1056号同42年6月27日第三小法廷判決・民集21巻6号1507頁,最高裁昭和47年(オ)第457号同51年3月25日第一小法廷判決・民集30巻2号160頁参照)」として、内縁関係にある者同士の間においてもこれを認めた。
4 コメント
内縁関係にはいろいろなバラエティがあることも考えられる。そうすると、内縁関係であることだけから当然に一体であるとはいえない場合もありそうだ。
判例
平成18(受)688 損害賠償請求事件
平成19年4月24日 最高裁判所第三小法廷 判決 破棄差戻
原審 東京高等裁判所
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