【刑事事件:内縁の夫が妻の子(4歳)を死亡させたとして起訴された事件】

令和4(わ)1235  傷害、傷害致死被告事件
令和7年1月21日  横浜地方裁判所

1 ポイントは何か?


事件性の有無。

2 何があったか?


検察官は、内縁の夫である被告人Aが、内縁の妻Bの子C(4歳)を⑴平成29
年9月24日拳で右前額部を殴り全治1週間の傷害を負わせ、⑵平成30年1
月23日に頭部、頸部に暴行を加えて頚髄損傷の傷害を負わせ、入院するも2
日後に死亡させたとして起訴し、懲役13年を求刑した。
Aは⑴については拳で殴ったのは平成29年9月20日であると主張し、⑵に
ついては、Cの急性硬膜下血腫及び両側眼底出血は、外力によらない虚血再灌
流や頭蓋内圧亢進によ って生じたと主張した。

3 裁判所は何を認めたか?


Aは無罪。⑴についてはBの供述があいまいであったこと、⑵については
E、F、G医師らの外力を肯定する意見とH、I、J医師らの否定する意見が
あるが、後者を排斥することは困難で、事件性を認定するには合理的な疑いが
残るとした。

4 コメント


事件性が疑われる以上Aの無罪はやむを得ない。しかし、民事の法律問題は残
るだろう。
ところで、弁護士は、家庭内暴力一般にどう対処すべきか。相談を受けた弁護
士は、裁判手続きを活用しつつ、警察、病院、児童相談所等のネットワークの
構築を図るべきであろう。

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