最高裁判所第三小法廷昭
和29(あ)1442強盗殺人昭和32年10月15日判決(破棄差戻)刑集 第11巻11号
2731頁(原審広島高等裁判所昭和28年9月18日判決)
1 ポイントは何か?
(八海事件)単独犯行か否か。
2 何があったか?
1951年(昭和26年)1月24日に山口県八海で発生した強盗殺人事件でEの
単独犯行かABCDも共犯か争われた。
3 第1次上告審で最高裁判所は何を認めたか?
原判決破棄差戻。
「第一審及び原審に現われた証拠によっては、 被告人四名につき原審の是認に
かかる第一審判決が認定した事実を肯認するに足り ず、結局判決に影響を及ぼ
すべき重大な事実誤認の疑があることに帰し、原判決を 破棄しなければ著しく
正義に反するものと認めなければならない。よつて、・・・刑訴411条3号
、413条により原判決を 破棄し本件を原裁判所である広島高等裁判所に差し
戻す」
裁判官垂水克己の補足意見は、「数人犯行の蓋然性の方がどちら かといえば
多くはないかとも思うがE単独犯行の蓋然性もあると考え、原判決には事実誤
認の疑いがある」とする。
なお、第2次控訴審でABCDが無罪判決を受け、検察官上告により第2次上
告審判決(1962年(昭和37年)5月19日)は再度破棄差戻、第3次控訴審は有
罪判決、弁護側上告により第3次上告審(1968年(昭和43年)10月25日)で
ABCDが無罪。
1956年映画「真昼の暗黒」が公開された。
4 コメント
第1次上告審で、有罪とするには合理的疑いが残るとして無罪判決を下すこ
ともできたのではないか。以上