1 ポイントは何か?
検察官は、不起訴処分の理由(起訴猶予、嫌疑不十分、罪とならず)を第三者に明かにしてはならない。
2 何があったか?
Aは、職場の上司Bに暴行したとして送検された。しかし、Aは不起訴処分となった。Aの雇用主は、Aに対する懲戒処分の検討資料として検察官に対し、不起訴処分の理由の開示を求め、検察官は起訴猶予と回答した。起訴猶予とは、検察官がAの嫌疑は明白と考えているということである。Aは国に対して、検察官が不起訴処分の理由を開示したことによりプライバシー権を侵害され、精神的に傷ついたとして金160万円の損害賠償請求をした。
3 裁判所は何を認めたか?
A一部勝訴。高等裁判所は、検察官によるAの雇用主に対するAの不起訴処分理由が起訴猶予であることを開示したことは行政機関個人情報保護法8条2項違反、刑事訴訟法47条違反であるとし、国からAに対し、金5万円の損害賠償金の支払いをするよう命じた。
4 コメント
企業の懲戒処分の手続においては、本人の弁解もきちんと聞く必要がある。
判例
名古屋高等裁判所 令和3(行コ)43 損害賠償請求控訴事件 令和6年5月30日 判決
原審 名古屋地方裁判所