【刑事事件:わいせつ電磁的記録のわいせつ概念が不明確であると争った事件】

1 ポイントは何か?

  わいせつ概念

2 何があったか?

  わいせつな画像等をインターネット等で公衆にさらす行為を処罰することは基本的人権である表現の自由に反すると主張された。

3 裁判所は何を認めたか。

  これまでのたくさんの判例で刑法のわいせつな電磁的記録頒布罪を処罰することは合憲であることは明らかであり、わいせつ概念は不明確とはいえない。

4 コメント

  どこまでがわいせつで、どこまでが合憲かは、くりかえし議論するしかない。

  

(参考)

 本件判決文言  

「刑法175条1項の規定が憲法21条1項に違反するものでないことは、当裁判所の累次の判例により極めて明らかであり(最高裁昭和28年(あ)第1713号同32年3月13日大法廷判決・刑集11巻3号997頁、最高裁昭和39年(あ)第305号同44年10月15日大法廷判決・ 刑集23巻10号1239頁等参照)、刑法175条1項にいう「わいせつ」の概 念は、所論のように不明確であるとはいえない」とした。

  

(わいせつ物頒布等)

第百七十五条 わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。

 有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。刑法 | e-Gov法令検索

第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

日本国憲法 | e-Gov法令検索

判例

令和4(あ)1407  わいせつ電磁的記録等送信頒布被告事件
令和5年9月26日  最高裁判所第一小法廷  決定  棄却  東京高等裁判所

092389_hanrei.pdf (courts.go.jp)

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