1 ポイントは何か?
相続登記の効力は公示力にとどまり公信力はない。
2 何があったか?
亡Dが遺言で相続土地の相続人Eの相続分を80分の13に指定していた。EはYに法定相続分4分の1を譲渡する所有権移転登記手続をした。
他の相続人Xが、Yに対し、求償請求を行った(遺言書指定の持分との差80分の7分の代金を求償したか?)。
3 裁判所は何を認めたか?
X勝訴。
Yがした上告は棄却された。
不動産登記には公信力がないので、Yが取得した持分は80分の13にとどまる(最高裁昭和35年(オ)第1197号同38年2月22日第二小法廷判決・民集17巻1号235頁参照)。
4 コメント
Yが亡Dの債権者だったら、民法909条の2本文によってYがEから受けた法定相続分による所有権取得登記は有効とならないだろうか。
判例
平成1(オ)714 求償債権
平成5年7月19日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却
原審 大阪高等裁判所
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