【親族:凍結精子で生まれた子の父親が法的性別を女性に変更していた事件】

1 ポイントは何か?


  性同一性障害で法的性別を女性に変更した元男性が父親として認知する資格があるか。

 
2 何があったか?


  Aは、性同一性障害であり、審判により法的性別を女性に変更した。Bが、Aの同意のもと、Aの凍結精子で非嫡出子Cを産んだ。Aは、Cが胎児のとき役所に認知届をしたが、受付を拒絶された。
  Cは、裁判でAの認知を求めた。


3 裁判所は何を認めたか?


  東京高等裁判所では、Cが敗訴。CがAに認知請求をするためには、Cが生まれた時、Aが男性であることが必要であるとした。
  最高裁では、裁判官全員一致でCが勝訴。「CがAの子であることを認知する」と認められた。子の福祉を優先させた。


4 コメント


  法的性別の変更を認めたことで、人の心情に変わりはないが、法律の解釈の側に混乱が生じているようだ。しかし、そこに妥当な解決を見出すのが裁判所の使命であり、弁護士も、妥当な解釈論を提起して、それを助けなければならない。

 

判例

最高裁判所第二小法廷  令和5(受)287  認知請求事件 令和6年6月21日判決 (破棄自判)
原審  東京高等裁判所