平成19(行ウ)727 遺族補償給付不支給処分取消請求事件(通称 渋谷労基署
長遺族補償不支給処分取消)
平成21年5月20日 東京地方裁判所
1 ポイントは何か?
業務上の負荷とうつ病の発症の相当因果関係。
2 何があったか?
O百貨店の料理長P1が、自殺した。本人が自殺する前に残したメモから
、PIがP3の持ち込んだPIを非難するビラにより苦しめられたことからう
つ病を発症し、更に配置転換などから絶望して自殺するに至ったことがうかが
われた。過度の残業などの事実はない。
PIの遺族Xらが遺族補償を求めたが労働基準監督署は、不支給処分とした
。Xが、裁判所に同処分の取消を求めた。
3 裁判所は何を認めたか?
Xら勝訴。
4 コメント
判決が引用した文言で、「いじめに長く暴露されていればいるほど、うつ病発
症のリスクは高くなる」、「うつ病罹患者には「希死念慮に至ることがほとん
ど必発である」とまで言われており、一般的に、うつ病の前駆期後半から回復
期前半において、希死念慮が生じ得る。」等が心に残る。
労働災害の認定には、相当因果関係の認定のために、相当細かな事実を主張し
、立証しなければならない。しかし、その努力を惜しまなければ、道は開ける
。