わいわいランド地裁・高裁事件
大阪地裁平成12年6月30日判決 労働判例793号49頁
大阪高裁平成13年3月6日判決 労働判例818号23頁
1 ポイントは何か?
雇用契約の成否、損害額算定の根拠
2 何があったか?
保育所の経営を専門とする会社Yが、経営受託予定の保育所のトレーナーとして新規採用したX1および採用を予定していたX2に対し、保育所の中止のために「話はなかったことに」ということで、X1は解雇とし、X2は採用中止とした。
そこで、X1及びX2からYを相手に、未払賃金や得べかりし賃金の半年分から1年分相当の損害賠償、他に慰謝料や弁護士費用等を請求した。
3 裁判所は何を認めたか?
損害額について
① 地裁は以下を認めた。
X1: 解雇権濫用の不法行為に基づき50万円の慰謝料、7万円の弁護士費用
X2: 雇用の撤回の告知が不法行為に当たるとして慰謝料30万円、弁護士費用3万円
② 高裁は以下を認めた。
上記の地裁の判決を取消し、X1およびX2の請求を棄却。そのうえで、X1及びX2らが追加的に主張した予備的請求に基づいて、
X1: 未払賃金24万円、注意義務違反の不法行為として116万円余および年5分の遅延損害金
X2: 注意義務違反の不法行為損害賠償として156万円余および年5分の遅延損害金
Yは、X1およびⅩ2に対し、過失相殺を主張したが、裁判所は、X1およびX2に過失はないとして、Yの主張を認めなかった。
4 コメント
会社は、事業所を拡張する場合に、それに向けた他企業との交渉や準備を積極的に進めるとともに、労働者の適切な雇用計画を立てなければならない。労働者は、しかし予想がつかないことすら起こりうることもを考えながら、頑張って自らの就職計画を立てなければならない。「働き方改革」では、非正規雇用や過労死が増えているともいわれており、労働環境は厳しいものがある。
よき労働市場の形成を望みたい。