1 ポイントは何か?
給料ファクタリングの仕組み
2 何があったか?
Jは、「七福神」という名称で給与債権の質取りすなわち給与ファクタリングを業として、AないしIに対して平成31年頃から令和2年頃にかけて行った。
Jのホームページには、「ブラックでも即日融資に代わる資金調達が可能」、「給料債権の買い取りサービスを提供しているファクタリング会社」等と広告していた。
その金利を計算すると260%を超えていた。
AないしⅠは、JがAないしIに交付した金銭は出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(以下「出資法」という。)違反、貸金業法違反、公序良俗違反等により不法原因給付であるからAないしIはJに対し返還義務を負わないこと、また、AないしⅠがJに交付した金銭はJの不当利得であるからJがAないしⅠに対し返還義務を負い、かつ、Jは悪意の受益者であるから、JはAないしIに対し民法704条所定の利息を付して支払う義務があると主張して提訴した。
3 裁判所は何を認めたか?
AないしIが勝訴。
4 コメント
裁判所の判断が妥当。
給料ファクタリングについて、刑事事件の令和5年2月20日最高裁判所第三小法廷決定091800_hanrei.pdf (courts.go.jp)とともに記憶しておくべき裁判例である。
平成12年の貸金業法43条1項の「みなし弁済」規定の廃止も、隠れた立法の歴史として発掘することが大切です。
なお、これについては、一橋研究第29巻4号77頁の武井亜矢子の最高裁平成16年7月9日判決を素材とする論考を参照してください。
(参考)
貸金業法
貸金業法 | e-Gov法令検索
出資法
出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律 | e-Gov法令検索
民法
民法 | e-Gov法令検索
一橋研究第29巻4号77頁(武井亜矢子)
貸金業法43条1項「みなし弁済」の適用要件–最高裁平成16.7.9判決を素材にして (一橋研究編集委員会): 2004-10|書誌詳細|国立国会図書館サーチ (ndl.go.jp)
以上
令和2(ワ)11883 不当利得返還請求事件
令和3年2月9日 東京地方裁判所