【倒産事件:倒産会社に対する損害賠償請求権を債権者委員会の代表者会社に信託譲渡した事件】

1 ポイントは何か?

  債権者委員会と信託譲渡を利用した倒産処理が行われた。

2 何があったか?

  AがD商店の物件を無断売却し、損害を与えた。Aは倒産し、Dは、同損害賠償請求権をAの債権者集会の債権者委員会の委員長であるB社に信託譲渡した。

B社がAに対し損害賠償請求をした。Aは、時価による損害額の算定時が「その頃」としか確定されていないのは不十分であること、信託法11条違反(訴訟の身を目的とした信託の禁止であり、現在は同法10条)、受託者が誰か等を争った。 

  

3 裁判所は何を認めたか?

  最高裁判所は、原審名古屋口頭裁判所の本件時価損害算定時の特定は十分であり、本件信託譲渡は訴訟信託には当たらないとし、受託者を債権者委員会ではなくB社と認定し、B社代表者であるE個人とは認定しなかったことに問題はないとした。

4 コメント

  債権者集会、債権者委員会が活躍して倒産処理を行なった事例である。

判例

昭和38(オ)513  物件返還等請求
昭和39年8月28日  最高裁判所第二小法廷  判決  棄却