1 ポイントは何か?
倒産会社が破産宣告前に特定の債権者に弁済したことが通謀による詐害行為取消の対象になるか。
2 何があったか?
D建設が倒産し、破産宣告を受ける前にD円設支店長Fが特定の債権者Aから暴力を振るわれ強請されて弁済した。別の債権者BがD建設及びAを相手に通謀による詐害行為取消請求権を行使し、Aに対しDの弁済金の返還を請求した。
3 裁判所は何を認めたか?
- 原審 名古屋高等裁判所
A勝訴
- 最高裁判所
A敗訴。
債権者平等原則は、破産宣告を受けた場合に限る。
Dの他の債権者を害する意思を認めず、詐害行為取消請求権の要件を欠くとした(最高裁昭和31年(オ)第402号同33年9月26日第二小法廷判決・民集12巻13号3022参照※)。
※この判例は、裁判所HPの裁判例検索では見当たらず、民集を参照するほかない。
4 コメント
AがDの損害賠償請求権を債権者代位権により行使したらどうなったのだろうか。
判例
昭和51(オ)221 詐害行為取消等並びに附帯
昭和52年7月12日 最高裁判所第三小法廷 判決 破棄自判 原審 名古屋高等裁判所