1 ポイントは何か?
わが国では選挙運動としての戸別訪問は禁止されてきたが、どのような場合が戸別訪問に当たるかが問題とされた。
2 何があったか?
選挙運動としての戸別訪問の意思はなく、相手が有権者だという認識もなかったと争った。
3 裁判所は何を認めたか?
憲法に違反しない。
戸別訪問につき、次の通り。
① 被告人と実在の人物であることは明らかな氏名不詳の男との間に共謀のあつたことを推認したうえで、被告人には戸別訪問の意思がなかったとはいえない。
② 原則として凡ての成年者が選挙権を有している現行制度のもとで、被告人は相手方に選挙権があるかどうかを知らなかったともいえない。
③ 憲法21条は絶対無制限の言論の自由を保障しているのではなく、公共の福祉のためにその時、所、方法等につき合理的制限のおのずから存し、選挙の公正を期するために戸別訪問を禁止した結果として、言論自由の制限をもたらすことがあるとしても、憲法に違反するものということはできない。
4 コメント
わが国では不動の先例となっているが、見直される時は来ないものか。
判例
昭和24(れ)2591 教育委員会委員選挙罰則違反
昭和25年9月27日 最高裁判所大法廷 判決 棄却