【医療過誤(骨接合術、抜釘術):スキーヤーの骨折治療の医療過誤で医師らに損害賠償請求した事件】

1 ポイントは何か?

  骨折事故の治療では、接合術や抜釘術の際に神経や既往歴に対する注意が必要であるが、本件では医師に医療過誤はないとされた。

2 何があったか?

  原告は平成7年1月28日、スキーで、スノーボードの被告Aと衝突し、左下腿部開放骨折し、同日被告財団法人Bが経営するC病院に入院の上、同年2月6日被告医師Dによる接合手術を受けた。同月16日全抜糸、同年7月27日退院(入院期間181日)し、同8年2月26日迄通院した。同月27日入院し、翌28日抜釘術をした。同年3月8日退院し、同年11月30日まで通院した。

原告は、Aに対しては衝突事故の不注意について、B及びDに対しては医療過誤について不法行為に基づく損害賠償を請求した。

原告とAとの間では平成15年12月3日訴訟上の和解が成立した。

原告は、医療過誤について、被告Dが、神経に対する診察や検査を怠ったこと、本件接合手術も神経に対する診察、評価や治療行為を行ってはいないこと、糖尿病があり骨癒合が不完全な状態であるのに抜釘術を行った等の過失を主張した。

3 裁判所は何を認めたか?

  原告のB及びDに対する損害賠償請求は棄却。

4 コメント

  本件判決文では特に問題になっていませんが、使用者の損害責任保険の保険対象を確認されますよう契約の際にご注意を。

判例

平成14(ワ)85  損害賠償請求事件

平成16年3月25日  青森地方裁判所  棄却