1 ポイントは何か?
医師は、治療について医療水準に基づいた注意義務を負うが、本件は、骨折患者の接合術、抜釘術をした医師のピンによる固定に対する処置、抜釘及び抜釘前後のリハビリに関し、注意義務違反があったとして医療過誤を認めた事例である。
2 何があったか?
原告が、原動機付自転車の転倒により右上腕骨々折の傷害を負い、被告病院において、整復固定術及びリハビリテーションを受け、その後、京都府立医科大学附属病院に転医して治療を受けたものの、右肩関節の拘縮が十分改善せず、不可逆的な可動域の制約が残存したのは、被告病院のA医師が骨折部位の回復の程度を厳重に経過観察するとともに、回復の程度に応じてリハビリを適切に実施すべき注意義務等を怠ったためであると主張して、不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償として、2024万5364円及び遅延損害金の支払を求めた。
3 裁判所は何を認めたか?
1397万7507円及び遅延損害金の支払を命じた。
A医師には、ピンによる固定に対する処置、抜釘及び抜釘前後のリハビリに関し、注意義務違反があったものと認めることができる。本件後遺障害とA医師の前記注意義務違反との間に相当因果関係を認めることができる。本件と相当因果関係のある損害の合計額は1397万7507円となる。
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本件判決は、右上腕骨々折の傷害を負った患者の手術やリハビリに当たった医師の注意義務について詳細に認定した点で参考になる。
本件判決文では特に問題になっていませんが、医師の損害責任保険の保険対象を確認されますよう契約の際にご注意を。
判例
平成12(ワ)3828 損害賠償請求事件
平成15年12月25日 名古屋地方裁判所