【国家賠償:本人の承諾なく優生保護法の避妊手術が行われた事件】

令和1(ワ)4170  旧優生保護法違憲国家賠償請求事件
令和6年5月30日  福岡地方裁判所 


1 ポイントは何か?


  避妊手術の有無、違法性、損害額、除斥期間。


2 何があったか?


  男性亡Aは、承諾なく旧優生保護法(昭和23年制定、平成8年改正)の避妊手
術を受けさせられた。Aと結婚した妻Bが、妊娠しないので、Aの陰嚢部を調べたと
ころ、手術の痕があった。Aは令和元年、H県庁から優性手術を受けた者への一時金
の支給(平成31年法律制定)を受けた。しかし、K医療センターの診断書(令和元
年)には、それが避妊手術か鼠径ヘルニアの手術か不明との記載があった。
  A及びBは、同年、国を被告として、旧優生保護法の違憲性、国の違法行為(国
会議員や関係大臣等の行為の違法性)等を主張し、Aが受けた優性手術によりA及び
Bが精神的、肉体的苦痛を受けたとして損害賠償請求訴訟を提起した。Aは、その後
死亡し、B及びCがAを相続し、訴訟を承継した。請求額は、Bが4400万円、C
が82万5千円。
  国は争い、除斥期間を主張した。


3 裁判所は何を認めたか?


  B及びCの一部勝訴。Bは1606万円、Cは38万5千円。


4 コメント


  H県の一時金支給決定は、国の基本方針とは異なっていたのだろうか。