福岡地方裁判所 令和6(ワ)4227請求異議事件 令和7年5月13日判決(支
払督促、福岡簡易裁判所)
1 ポイントは何か?
支払督促に対する請求異義
2 何があったか?
Xは氏名不詳者らの架空の投資話を誤信し1億2000万円を指定口座に送金
したところ、その口座からAらの銀行口座に送金された。XはAらを氏名不詳
者の共同不法行為者として損害賠償請求をした。Aは住所不明であり公示送達
により第1回口頭弁論期日において口頭弁論終結となった。
Yは、BからAに対する債権の譲渡を受けたとして、Aに対し支払督促を行い
、Aの同居人なる者が送達を受け、Aから異議等なく、YはAに対する仮執行
宣言付き支払督促を行い、それを債務名義としてAの銀行口座を差し押さえた
。
Xは、Yの支払督促は架空の債権に基づくものであるとして請求異義の申立と
強制執行停止決定の申立てを行った。
3 裁判所は何を認めたか?
X勝訴。
裁判所は、XのAに対する1億余円の損害賠償請求を認めた。
裁判所は、Xの請求異義申立により民亊執行法36条1項に基づく強制執
行停止決定を下し、支払督促は請求の当否については実体的判断が行われるも
のではないから既判力がなく、YのAに対する債権には証明がないとして同法
37条1項に基づいて仮執行宣言付支払督促に基づく強制執行を許さず、すで
に下された上記強制執行停止決定を認可し、同認可に仮執行宣言を付した。
4 コメント
支払督促は簡易な手続きであるが悪用されることがある。