令和6(わ)57 殺人未遂被告事件
令和7年3月11日 水戸地方裁判所
1 ポイントは何か?
マッチングアプリ。
不能犯か。
完全責任能力の有無。
2 何があったか?
Aは、マッチングアプリで知り合った不特定多数の男性と性交渉し、妊娠した
。Aには軽度知的障害があった。
Aは、令和5年11月午前8時頃(気温10~11度)、和式トイレでBを出産
した。Aは出産直後に、両手足がしびれる脳梗塞の症状を発症していた。
Aは、水を流してBを流してしまおうとしたが、思い止まり引き上げた。
Aは、赤ちゃんポストに連絡し、119番するよう言われ、友人にも連絡した
後、119番した。
Bは一命をとりとめたが、脳軟化症の傷害を負い、重度発達障害の後遺症があ
る。
検察官の求刑は6年。
弁護人は、不能犯、心神耗弱を主張した。
3 裁判所は何を認めたか?
Aを殺人未遂として懲役4年の刑に処した。
4 コメント
Aの知的障害、出産時の脳梗塞、119番通報をしていることなどから、執行
猶予を含めて検討する余地があったとも考えられる。Aの出産に誰も気が付か
なかったのは、Aが社会的に孤立していたことを意味するのではないか。