【行政事件:住民訴訟がその前に監査請求期間を徒過していたとして却下された事件】

山口地方裁判所令和6(行ウ)3  損害賠償請求事件(住民訴訟)令和7年8月4日判決

1 ポイントは何か?


住民訴訟の監査請求前置主義(地方自治法242条の2)。

2 何があったか?


町立病院の医師が金属スクラップを不正に処分し、町民らが監査委員に監査請求をしたが
棄却され、町長を相手に住民訴訟を提起し、医師と町立病院に対し金3000万円の損害
賠償請求をするよう求めた。
町長は、監査請求可能なときから1年以内に監査請求をしていないし、その正当事由もな
い、また損害賠償請求を違法に怠った事実もないと反論した。

3 裁判所は何を認めたか?


裁判所は、原告となった町民らが監査請求前置主義を満たしていないとして却下した。監
査委員会が監査請求を認めたうえで棄却したことも裁判所を拘束しないとした。

4 コメント


住民自治の重要性を考えると、監査請求遅延の「正当性」は、もっと緩やかに検討されて
も良いのではないか。もし、本件が監査請求前置主義を満たしていたら、医師と町立病院
の責任はどのように裁かれていたか。その点は、うやむやになった。控訴がありうると思
われる。

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