神戸地方裁判所 平成23(わ)653 詐欺 平成24年10月5日判決
1 ポイントは何か?
生活保護費の詐取。
2 何があったか?
Aは、収入があるのに無いように装い、大阪市のB福祉センターを騙して、生活保護費
416万余円を詐取した。
厚労省は、急迫の場合を除いて暴力団員には生活保護を受給する資格がないと通知し、大
阪市もこの通知による運用をしていた。
検察官は、Aが、収入があることを隠しただけでなく、暴力団員であることを秘して生活
保護費を請求したことも同じく詐欺に当たると主張した。検察官の求刑は懲役4年であっ
た。
3 裁判所は何を認めたか?
懲役3年6月。未決280日を算入する。
なお、収入をかくして生活保護費を請求した詐欺を認め、暴力団員であることを秘匿する
詐欺は認めなかった。
暴力団員秘匿詐欺が認められなかった理由は、B福祉センターからAに対し暴力団員である
か否かを聞いたことはなく、Aが厚労省の通知と大阪市による生活保護費の運用を知って
いたとは認めがたいとした。
4 コメント
暴力団員による生活保護費の請求は急迫の場合以外できないとの通知と運用があることを
広く周知するべきである。
