仙台地方裁判所 令和6(ワ)115 損害賠償請求事件 令和7年9月26日 判決
1 ポイントは何か?
建築基準法及び県の建築条例等を遵守すれば日照阻害の不法行為は成立しないか。
2 何があったか?
原告Aは都市計画法上の第1種低層住居専用地域に土地を所有し2階建住居を建築し居住
している。その娘である原告Bも同居している。被告Cは銀行であり、A宅の南面に隣接す
る第1種住居地域に高さ8.23mの支店を建築し、そのためにA宅には冬至日において
境界線から高さ4mの水平面の5mの垂直面に5時間以上の日影を生じさせた。そこで
、AB等は、Cに対し、かかる日影は生活妨害の不法行為であるとしてAについて約459
万円、Bについて165万円の損害賠償及び年3%の遅延損害金を請求した。しかし、建
築基準法及び宮城県建築条例は第1種低層住居専用地域については高さ10m以下の建築
物については日影の規制基準が存在しなかったので、被告は行政法規に違反していないと
して原告等の主張を争った。
3 裁判所は何を認めたか?
仙台地裁はABらの日照被害は受忍限度を超えているとして不法行為の主張を認め、CがA
に対し67万円、Bに対し55万円の損害賠償金及び年3%の遅延損害金を支払うよう命
じた。
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Cが支店を建設することは、経済の発展に貢献する。行政の権限がそれを恣意的に規制す
ることがあってはならないから、建築基準法や県建築条例など行政法規が必要となる。他
方、経済活動の自由は、他の国民の生活に受忍限度を超える犠牲を強いてはならない。裁
判所は、本件では、日照被害の不法行為の成立を認めたうえで、損害賠償額の調整により
、経済活動の自由と国民生活の擁護の調和を図ろうとしたと言える。しかし、今後継続的
な損害が発生することを考えると、十分な賠償額であったかという疑問は残る。
以上

