〇東京高裁令和3年10月27日判決、判例時報2516号51頁
1 ポイントは?
介護老人施設の介護支援相談員には、しろうとの入居者に対し、食費などの自己負担分軽減の制度について、ていねいに説明する義務がある。
2 何があったか?
介護老人施設の入居者が、介護老人施設に対し、介護支援相談員の説明が不十分であったために、食費等の自己負担分の軽減を受けられなかった額について損害賠償請求をした。
3 裁判所は何を認めたか?
介護支援相談員にはしろうとの入居者に食費等の自己負担分の軽減制度があることをていねいに説明する義務があり、過失による不法行為が成立するとした。そして介護老人施設の責任を認めた。ただし、入居者にも、パンフレットの記載などから自分で調べることもできたとして3割の過失を認め、過失相殺により損害賠償額を3割減額した。
4 コメント
介護支援相談員の仕事は、大変忙しい。しかし、しろうとの入居者や家族には、制度についてできるだけていねいに説明しなければならない。介護施設は、入居者用にわかりやすいパンフレットを用意しておかれたほうがよい。過失相殺による損害額の減額は、施設側と入居者側の調整をはかったものである。